ハエ15,ハエ32追突事故(9月23日)
またやらかした・・・
(以下画像提供はKaori Nusantara様)
本日16:20頃、Juanda駅付近下り線で、Gambir満線のため、Juandaに停車中だったKA1154(ハエ15)に後続のKA1156(ハエ32)が追突しました。すでにSNS等で大々的に拡散されているため。すでにご存じの方も多いかと思いますが、直接衝突したクハ204-123,クハ205-54の他に、各車両の連結面も大きく損傷しています。また、おそらくその中間車オーバーハング部の乗客から負傷者が出ている模様です。これまでのジャカルタでの追突事故からもわかる通り、中間車端部の強度の弱さが改めてわかる結果になりました。両編成とも損傷が激しいため、編成単位での復旧は困難と見え、最悪の場合、全車廃車となるのではないかと思われます。先日、晴れて17本そろった10連編成ですが、ここで2編成を失うことになってしまいました。およそ2年に1度起きると言われるジャカルタ圏での大型鉄道事故。またもセオリー通りになってしまいました。衝突の原因は、乗務員の信号見落としなのか、あるいは車両側の原因なのか。悪名高き鋳鉄シューが、またこの一件にも絡んでいないことを祈るばかりです。
詳細は前回に引き続き、News Line Kaori Nusantara様が公開されていますので、ご参照ください。画像,情報提供ありがとうございます。
http://www.kaorinusantara.or.id/newsline/35434/ini-dia-rangkaian-krl-commuter-yang-bertabrakan-di-stasiun-juanda
http://www.kaorinusantara.or.id/newsline/35429/krl-commuter-line-bertabrakan-di-stasiun-juanda
ハエ15の3号車,4号車の連結面
さて、車両起因による事故ならば、ATSを設置したところで、もはやどうしようもないのですが、今回の事故を見るに、閉塞が短い中央線内で、よくこれまで事故が起きなかったものだと、実感しました。中央線内は理論上3分毎の運転を可能にするため、関東私鉄並みに閉塞を詰めています。ですから、数十メートル前に先行列車が止まっているなんてことは当たり前。今回の件も、本来は数十メートル手前で止まるべきだった列車が、冒進し、追突した形です。 手前がハエ15、奥がJakartaKota側。すぐそこにJuandaの(場内)信号が見えます。
しかも、この区間、SawahBesarを出るとJuanda手前で大きく右にカーブしており、前方列車はおろか信号も視認出来ません。おそらく、後続のハエ32はSawahBesar発車時(中央線内はGambirを除き、駅での信号扱いはなし。駅に関係なく、信号機は配置されている)に、は既に注意信号の現示を受けて、走行しているものと思われますが(この区間の信号配置を覚えていませんので、なんとも言えませんが)、そこでノッチを入れすぎ、ブレーキが間に合わなかった可能性が高いのでは、と素人目には思います。しかし、これだけ潰れるにはそこそこのスピード(この区間の最高速度、60㎞/h)が出ていた可能性もあります。また現地鉄道ファンによれば、後続KA1156の運転士は乗務に就いたばかりの新米だったという話も出ており、‟Gambir渋滞”を甘く見すぎたという部分もあるのかもしれません。ベテラン運転士なら、夕刻の中央線下りで、SawahBesarを出たらManggaraiまで、どうせ詰まるんだろというノリでしか運転しないでしょう。さらにJuandaにも出発信号はなく、この区間の閉塞はイスティクアルモスク脇まで続いており、Gambir渋滞にかかわらず、Juandaに到着した列車は、本来否応なく、すぐに出発しなければならないのですが、ここは運転士の裁量で、イスティクアルモスク脇の信号機が停止を現示しているときは、乗客サービスで発車させず、ドアを開けておくということが散見されます。今回も、もしかしたら、そのような状況下だったのかもしれません。 高架下から見た、Juanda(場内)信号。追突側の中間車も大きく損傷しています
つまり、今回の事故は、大きくカーブした先での追突ということで、起こるべくして起きたとしか言わざるを得ない事象であると思います。これを機に、保安装置の設置に弾みがつくのでしょうか。そして、ただでさえ足りない10連を失ったことで、今後の南武編成の運用計画にも変更が出てくるのでしょうか。
いずれにせよ、喫緊の輸送力増強というお題目の前に、後回しにされてきた安全対策へ、KCJが今後舵を切ることを願います。
最後に直近に撮ったハエ15,32の画像を上げておきます。 運用開始第一号だったハエ15。独立記念HMを掲げて疾走。
小窓、大窓が入り混じるネタ編成、ハエ32。末期にはスカート無しというサプライズも・・・。
一気に20両を失ったKCJ、これを教訓に、改革の火蓋は切って落とされるのか。
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コメント
はじめまして。 すごく大変なことになってしまいましたね... かなりのけが人も出ているようですが、10両編成を2本失って運用は回せるのでしょうか?
投稿: 京都の鉄道マニア | 2015年9月24日 (木) 00時34分
はじめまして、始めてコメントいたします。
まさかの事態となりましたね…
損傷具合からほぼ20両丸々廃車&使用可能の部品を剥ぎ取る感じでしょうか?
だとしたらハエ31編成を復活させてほしいものです…
投稿: ニューパルサーSP | 2015年9月24日 (木) 00時54分
おはようございます。
両編成の衝突してない側3両ずつくらいを復活させて6連を組むかと思ってましたが、もうそこまでのことはしないのでしょうね・・・
それにしても不思議なほど埼京線編成ばかり離脱しますね。。。
投稿: 8506 | 2015年9月24日 (木) 06時19分
おはようございます。
これは大変なことになりましたね。
南武車導入直後で余裕があるのは不幸中の幸いですが…
2編成分の部品を回収すればハエ31を復旧できるでしょうか。
中央線にATSを導入するとすればおびただしい数の機関車を
対応させなければいけませんね。
そろそろ長距離列車のGambir発着をやめて
PasarSenen発着に統一したほうが良いような気がします。
投稿: 丸太 | 2015年9月24日 (木) 06時57分
突然の大事故に、大変ショックを受けております。
何とか使える部品だけでもかき集めて、ハエ31編成を復活させるか、比較的損傷してない中間車両をかつての都営車みたく先頭車化改造して復活させるなどできないものでしょうか。
投稿: ハマ線沿線の民 | 2015年9月24日 (木) 10時26分
一番恐れていた事態が遂に現実になりましたか・・・、ATS/ATC装置無しで乗務員の目視に頼り切っていたツケが今になって回って来た感がありますが、果たして見えない部分への投資を上層部が行うんでしょうか、ね。
過去に起きた事故から想像しますに、また乗務員の処分だけで有耶無耶にしてしまいそうな気がしてなりません。
投稿: 野津田車庫 | 2015年9月24日 (木) 14時14分
日本で過去にあった、東中野の事故とそっくりみたいですね。曲線への中継信号と、ATS-Pの設置は課題でしょう。
しかし、部品取りの話が出ていますが、補修部品がうまく揃ってないのは不安です。
南武線の車両が出払ってしまうと、日本に残る同じ制御装置の205系の在庫も、売却出来るの可能性があるのは100両程となり、次の調達を考える時期になってしまいますからね。
(インバーター改造済のJR205系・メトロ6000系や東急8500の廃車は可能性はありますが、調達としては不透明ですから)
今から中長期的な先を見据えないと、深刻な車両不足が再度発生しても不思議ではないです。
投稿: かわせみかげ | 2015年9月24日 (木) 17時04分
<コメント頂きました皆様へ
一斉返信で申し訳ございません。
・負傷者について
KCJ公式からも上がっておりますが、40人超が負傷し、近隣の病人に搬送されている模様です。この中には、後続のハエ32の運転士も含まれているようです。
・事故原因について
現時点でKCJからの公式リリースはありませんが、運転士の前方不注意という見方が強まっています。しかし、当地では基本的に前方乗務員室には2名乗務しており、よほどのことがない限り、信号見落としは発生しません。問題なのはなぜ若い運転士がマスコンを握っていた(補助運転士クラスとのこと)のか、そして本務運転士がなぜ助手席側から発見されたのか、ということです。
・車両の処遇について
Fadilla社長は当該車両について、修繕せずに廃車とすでに報道陣に語っていますが、損傷していない車両を当該車両に含めているのかは不明です。少なくとも、前後の車両をかき集め、6~8両は組めるのではないかと思われます。編成の向きが、両編成で揃っていたのが幸いでした。現在、全車BalaiyasaManggaraiに収容されている模様です。また理論上、ハエ31の復旧も可能とは思いますが、KCJが、どこまでやるか、ですね。
・今後の運用に関して
10連運用は現在15運用設定されており、今回2本が離脱しましたので、残り15本です。しかし、15本中1本は全検に入りますので、1本足りません。8連で代走するか、あるいは、手っ取り早く12連運用にしてしまうのかもしれません。
・保安装置について
保安装置は線路にか関わるものですので、KCJというよりも、KAIの業務範囲のようです。すでに都営6000を用いたATS試験車を以前にお知らせしていますが、JABODETABEK圏を含め(優先的に整備すると思われる)、ATS設置計画は存在しており、すでに設置に向けた準備予算はKAIの方で計上されているはずです。こんかいの事故をきっかけに、設置計画にはずみがつけば、と思います。機関車への設置試験もBandung地区ですでに終了しております。
投稿: パクアン急行 | 2015年9月24日 (木) 22時00分
東中野の話が出ていますが、実際に東中野事故でも乗客の死者は5両目のオーバーハング部からでています。
カーブの先、本数多めというのも確かに似ている形です(東中野の場合、さらに下り坂の先になるというのも一因とされていました)。
車両の処遇は日本とインドネシアでは単純に比較できませんが、東中野の時は被追突側の先頭車(クハ201-3)のみ生き残り、残り19両は廃車になりました。
ちなみに、中央・総武緩行線は国鉄時代に船橋で追突事故をやらかしています。この時は最徐行での追突でしたが、それでも400人以上の負傷者が出ています。
投稿: MOGUPON | 2015年9月24日 (木) 23時57分
<MOGUPON様
コメントありがとうございます。東中野の話は出てくると思いましたよ。確かに条件的には似ていますし。中継信号の設置は最近進んでいますが、中央線の高架区間では確かまだ設置されていなかったと思います。
負傷者が少なかったのは、夕ラッシュ直前で、比較的少なかったのが大きいでしょう。この間隔で、Juanda到着前では後続列車はガラガラでしょうし。ちなみにTさんはGondandiaで列車待ちして、列車が来なくて諦めて改札出たらしいです・・・。
そういや、東中野では、201のアタマ以外は廃車されましたね。その補填で入ったのが、205でしたよね。
投稿: パクアン急行 | 2015年9月25日 (金) 00時16分
そうですね。東中野の代替で入ったのが205系です。ただ、最後にいた3編成とは別の2編成で、のちにこの編成は埼京に飛び、別の3編成を迎え入れています(ATC機器の都合)。
ちなみに調べたところこの2編成はハエ7とハエ9のようです。一瞬、まさかとは思いましたが、違っていました。
投稿: MOGUPON | 2015年9月25日 (金) 23時29分
そうでしたか。詳細ありがとうございます。さすがにハエ15ではなかったのですね;;
投稿: パクアン急行 | 2015年9月26日 (土) 20時47分